
「あれ、意外と簡単かも?」小さな一歩から、次のステージへ。農家さんのマーケティングを加速する2つの道筋
前回の記事では、日々の農業経営に「マーケティング」という考え方を取り入れ、小さな自動化、いわゆる「ミニMA」を始めることの重要性についてお話ししました。
道の駅に置いたQRコードからLINEに登録してもらったり、収穫時期のお知らせを自動で送ったりしてみた方の中には、きっと「少しの手間でお客様とこんなにつながれるんだ!」という手応えを感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
「もっとたくさんのお客様に、もっと手軽に届けたい」、そんな風に感じ始めているなら、それは次のステージに進むサインかもしれません。
今回は、今ある「つながり」をさらに広げ、あなたの農園の直販事業をより安定した収益の柱に育てるための2つの道筋についてお話ししたいと思います。
最小構成から始める「ミニMA」で、手応えを確かなものに
もし、まだマーケティングを始めたばかりなら、まずは前回もお話したLINE公式アカウントと決済サービス(StripeやPayPalなど)を組み合わせた「ミニMA」の仕組みを極めるのがおすすめです。
前回の記事はこちら↓
その野菜、ただの農作物じゃない。物語を届ける「ミニMA」という新しい農家の味方
これは、難しい専門知識は一切不要で、誰でも無理なく始められる、いわば「直販の基礎練習」のようなものです。
実際にできること
お客様をリスト化する 道の駅などに置いたQRコードから、お客様にLINEの「友だち」になってもらいます。こうすることで、「誰が買ってくれたか分からない」状態から、「この方が買ってくれたんだ!」とお互いに相手のことを認識する関係に変わっていきます。
コミュニケーションを自動化する 「友だち」になってくれたお客様に、ご挨拶や農園の紹介を自動で送信できます。収穫が近づいたら、「〇〇がもうすぐできますよ!」といった予約案内も、手作業の負担なく届けられます。
販売をシンプルにする 複雑なECサイトは作らなくても、Stripeなどで作った決済ページへのリンクをLINEで送るだけで、簡単にお買い物をしてもらうことができます。
この方法なら、コストを抑えながらお客様と直接つながる「仕組み」をしっかりと構築できます。この段階で、ご自身のマーケティングに確かな手応えを感じられるのではないでしょうか。
次のステージへ。直販事業を本格化させる「GoHighLevel」
「ミニMA」で手応えを感じたら、次はより本格的な「事業の自動化」に目を向ける時期かもしれません。そこで選択肢の一つとして検討していただきたいのが、GoHighLevel(GHL:ゴーハイレベル)という統合プラットフォームです。これは、少し専門的な響きですが、簡単に言えば「顧客管理、自動化、決済、ウェブサイト作成」などの直販に必要な機能をすべて一つにまとめたツールです。
GoHighLevelで何ができるようになるのか?
顧客情報を一元管理できる LINEやメール、ウェブサイトなど、お客様との接点がどこにあっても、すべての情報が自動で一つにまとまります。たとえば、「トマトが好きなお客様」や「お米をリピートしてくれているお客様」といったように、どこでお会いした方なのか、何を注文してくれた方なのかが細かくグループ分けができるので、それぞれに合った情報を届けることが可能になります。
専門家なしでウェブサイトが作れる 「農園の紹介ページ」や「収穫体験の募集ページ」も、専門知識がなくても簡単に作成・公開できます。今はウェブサイトは「ただ作ればいいもの」ではなく、「作るのにすごくお金と時間がかかり、作るのが大変なもの」ではありません。あなたのマーケティングに合わせて、素早く作ってすぐに公開するものなのです。
売上が「見える化」される どの販売経路からお客様が来て、いくら買ってくれたのかがダッシュボードで一目でわかります。これにより、「直販の売上がこれだけ伸びた!」と、成果を数字で実感できるようになります。
「ミニMA」で得たお客様とのつながりを、GoHighLevelを使ってもっと深く、もっと広げていく。この時のあなたにとって、直販はもう既に単なる「副業」ではなくなっていることでしょう。直販事業(もしかしたらEC事業かもしれません)はあなたの農園の立派な「もう一つの事業の柱」、少なくともその芽として、力強く育ち始めていることでしょう。その時にGoHighLevelはあなたにとって強力な武器になり得るかもしれません。
あなたのペースで、自信を深めていく
大切なのは、最初から完璧を目指さないことです。まずは、LINEを使った小さな一歩から始めて、ご自身のマーケティングに自信をつけてみてください。そして、手応えを感じたら、GoHighLevelのようなツールも視野に入れながら、次のステップを考えてみる。
「誰が買ってくれたか分からない」不安から、「このお客様が買ってくれたんだ!」という確かな手応えへ。そして、「次の収穫期には、このお客様たちに確実に届けよう」という未来の計画へ。一歩一歩、お客様との関係を育てることで、あなたの農業経営はもっと強く、もっと楽しくなっていくのではないでしょうか。